M&Aで会社を売却しようとしたが会社所有の不動産(土地)で土壌汚染の可能性があり売却が難航した事例

【トラブルの内容】

郊外に遊休不動産を所有する会社が後継者不在で売却した案件。

売却対象会社が郊外に所有していた遊休不動産(山間の空き地 約10,000㎡)は、昭和40年頃に土木工事や建設工事で発生した建設残土(建設発生土)の埋立地として利用されていました。

建設残土とは、建設現場の基礎工事などで発生する工事に不要な土のことですが、買い手は、建設残土に土以外の産業廃棄物が混入しているのではと疑っていました。
そのため、買い手は当該遊休不動産を売買対象から外すことを希望しました。

一方の売り手は、産業廃棄物など混入していないし、遊休不動産が残っても困るため、当該遊休不動産を売買対象から外すことはできないとの意向でした。

売り手と買い手の主張は平行線をたどり、交渉は膠着状態となってしまいました。

【トラブル回避策】

土壌汚染の可能性がある土地がM&A取引に含まれる場合、可能な範囲で土壌汚染の有無の確認、土壌汚染が発生した際の売り手と買い手の責任分担の確認を行わなければなりません。

今回の案件では以下のような対応を行い、最終的にM&Aが成立しました。

(1)買収監査の事前準備として、売り手側の費用負担で対象土地(約10,000㎡)の土壌汚染調査を実施。
対象土地内の複数箇所でボーリング調査を実施し、調査箇所で汚染物質は見つからず、土壌汚染の可能性は低いと判断。

(2)買収後に対象土地で売り手側に起因する土壌汚染が発生した場合、売り手側が責任を負担することをM&A契約書に明記した上で、対象土地も売買対象に含めた。

売り手側が土壌汚染調査の費用負担を行って、土壌汚染のリスクが少ないことを証明したため、買い手側も安心して不動産を引き受けることができました。

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